21年前にわかくさ福祉会に入職してまもない頃、「まだ作業所に通えればエリートだ」とするご家族の言葉に、社会参加の遠さを強く実感したことを憶えています。
その後、2006年には障害者権利条約批准に向けた障害者自立支援法(現在の総合支援法)が施行され、障害福祉サービスは充実し、障害者雇用においては今では新規で働く方の半数以上が精神保健福祉手帳所持者となるまでに至りました。
しかし、未だに65歳未満の未就労障害者は350万人以上もおり、その7割以上が精神障害のある方であり、また精神科病院の入院患者数32万人のうち、1年以上入院している人は20万人以上、10年以上は7万人という現実もあります。さらに最近では、8050・7040問題にいわれるような生きづらさ・働きづらさのある方の課題がクローズアップされ、その背後に見え隠れする生活困窮や障害の問題が社会的なテーマとなっています。
わかくさ福祉会の歩みは精神障害者の歴史とともにあり、37年前の設立当初から精神科病院から地域へという社会包摂を目標に、ニーズの変化に対応しながら新たな支援に挑戦してきました。そして今、新型コロナウイルスにより社会が大きく変わろうとしている中、新しい生き方・働き方・支援のあり方を求めていく時代になっています。従前の障害福祉サービスをより充実させていくと同時に、これまでの枠を超えた多様かつインクルーシブを前提とする社会モデルの支援の枠組みづくりにチャレンジしていくことが必要になっています。
そのために何ができるのか、小さな法人ではありますが、皆様からのご指導・ご支援を賜りながら、職員・役員が一丸となり、さらなる飛躍と成長に向けて邁進していく所存です。
2020年7月
特定非営利活動法人わかくさ福祉会
野路 和之
野路和之(のじ・かずゆき) 経歴
特定非営利活動法人わかくさ福祉会 理事長
障害者就業・生活支援センターTALANT センター長
1969年仙台市出身、1991年武蔵大学経済学部経営学科を卒業。1992年、財団法人花と緑の農芸財団(当時理事長・長嶋茂雄氏)農芸塾を卒塾。同年より株式会社自治体研究社にて7年間月刊誌・単行本編集に従事。
1999年より現法人のわかくさ福祉会に入職。2001年にジネス(現在、障害者総合支援法・就労移行支援事業)所長となり、2006年より法人事務局長を兼務。2008年より障害者就業・生活支援センターTALANTのセンター長に従事。2016年より同法人副理事長に。2020年7月より同法人理事長に就任。
<資格>
・精神保健福祉士
・ジョブコーチ養成研修修了(厚生労働省事業)
・農園芸ジョブトレーナー養成研修修了(農林水産省事業)
<公的委員等>
・東京都就労支援協議会委員(東京都福祉保健局)
・八王子市自立支援協議会就労部会委員
・八王子市地域精神保健医療福祉推進会議委員
・町田市自立支援協議会委員
・多摩市自立支援協議会委員
・一般社団法人東京都農業会議・農福連携人材育成事業運営会議委員
<他法人役員等>
▶一般社団法人東京中小企業家同友会八王子支部幹事長 同会多様性委員会委員 https://www.tokyo.doyu.jp/
▶NPO法人セミ~レ(宮城県気仙沼市・理事長佐藤工)副理事 http://seminare-kesennuma.or.jp/
東日本大震災の支援を通じて、気仙沼市本吉にて重度自閉症児の放課後等児童デイ・ショートステイ・生活介護等事業を行うNPO法人セミナ~レの設立に携わる。
▶NPO法人全国就業支援ネットワーク(大阪市・理事長酒井京子)理事http://www.sien-nw.jp/
▶NPO法人多摩在宅支援センター円(立川市・理事長中嶋康子)監事 https://zaitakuen.or.jp/
<過去5年間の代表的講演会など>
■株式会社ヤンセンファーマさま
精神科医療機関向け講演会(2015年~2019年から10 回)
https://www.mylifenews.net/drug/2016/12/post-390.html
■株式会社オリンパスグループさま(2017 年・2018年)
グループ内障害者雇用人事担当者向け研修会・3時間程度
テーマ 精神障害者・発達障害の雇用の進め方
■内閣人事局さま講演・2回(2018年・2019年)
テーマ「障害者雇用の現状と課題」
・人事局審議官・参事官・補佐官対象
■精神・発達障害者定着支援システムSPIS研修会(3回)
・支援機関向け
■国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナー(2019年度 2020年年度)
(特定非営利活動法人全国就業支援ネットワーク)
テーマ「障害のある方が安心して働き続けるための雇用支援と制度のポイントについて」
国家公務員の障害者雇用担当者50名ほど
■第42回多摩地域障害者雇用企業連絡会(2019年・2講義)
テーマ「発達障害者の雇用支援の押さえどころ」
テーマ「障害者権利条約と超人口減少社会の視点から考える」
特例子会社50社ほどの役員及び職員研修
■2018年度・2019年度東京都精神障害者就労定着連携促進事業
「障害者が働き続けるための支援の押さえどころ」過去8回
就労移行支援、就労支援センター新人中堅向け研修・1回40名ほど
■NPO法人Green Work 21様(目白大学・松矢教授依頼)
「これからの障害者雇用と就労支援を考える」
企業、医療、福祉関係者20人ほど
■日本財団主催・就労支援フォーラムNIPPON
・2018分科会「就業・生活支援センターのあり方~定着支援事業との関連も含めて~」座長
・2019全体パネルディスカッション②
「国など公共機関で働く障害者の支援について ~批判を超えて当事者、職場のために何をすべきか~ 」進行
・2020 コンテクストフォーラム【ANSWER 4】
「重度」障害者の「働く」の新デザイン~現状からみる答え~パネリスト
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/52773
■精神障がい者と家族のための市民公開講座
NPO人地域精神保健福祉機構 (コンボ)
公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 (みんなねっと)
NPO法人全国精神保健職親会 (vfoster)
一般社団法人日本うつ病センター
大塚製薬株式会社 共催
■多摩市役所人事課 課長職員向け障がい理解促進研修 講師 2021年10月